
運転手型腰痛とは?
ちゃんと先生が勝手に名付けました。少々意外な着目点ですが、通常の腰痛とはちょっと違う原因なのがこの「運転手型腰痛」です。長距離ドライバーや、タクシードライバーなどに多い腰痛は、殆どの場合、この「運転手型腰痛」に該当します。
運転しているだけで痛くなる腰
比較的多くのドライバーに経験がある腰痛ですが、これまでは、長時間座りっぱなしになることで腰痛になるという考え方でした。しかし、ちゃんと先生の特有の整体分析によって、内臓に原因があることが分かりました。中でも腎臓が特有の環境下にさらされることによって、下垂してしまう場合があります。今回は、40歳代の中野さんを例にご説明して行きます。
ちゃんと先生はい、どうぞ~!開錠しまーす!
※ちゃんと先生の整体院はオートロック



こんにちは!初めてなんですけど、整体お願いできますか?



勿論です!今日はどうなさいましたか?



腰が痛くて~、職業病みたいなものだと思いますが、最近は腰が痛いから、仕事も集中できなくて。



差し支えなければ、お仕事は何をされているのですか?



ブルドーザーのオペレーターです!



ブル、ブルドーザーって?あの大きな工事現場とかの?



はい、そうです!



ちょっと見た目といっては失礼ですが、凄く小柄な方なので・・ギャップにやられました!



そうなんです。よく言われます。



確かに腰が痛いと、運転席でのポジションとか結構大変そうですね。



そう、右のお尻に体重を乗せてみたり、左のお尻に体重を乗せてみたりと色々ポジショニングを変えてみるのですが、重ぐるしい感じの痛みが消えなくて。



なるほど。過去に外科的な手術を受けられた部位などありますか?



えっと、大したことではないのですが、大型バイクで車と衝突して、脾臓を摘出しています。



そうだったんですか。いや、大型バイクの件も気になりますが、脾臓摘出って、それ大した事ですけどね。その時には骨折とかされなかったんですか?



幸い打ち身だけでした。



それは不幸中の幸いでしたね。事故の後遺症はありませんでしたか?



首が痛かったというくらいですが、整骨院へ何度か通って治療して貰いました。



ヘルメットを被っていると、衝撃で首を持ってかれますからね。でも、その程度の後遺症で本当に良かった。今回の腰痛は初めてですか?それとも何度も過去にありましたか?



前にも一度あったと記憶しています。



その時の仕事もブルドーザー?



そうです。その時は、良くなるまで1ヶ月以上掛かったかな?



何もせずに放置で?



運動する様に心がけました。バックカントリースキーとか、乗馬とか・・・あと、フルマラソンとか。



ん~・・それぞれ聞きたいことが沢山ありますが、まぁ、運動をしていたらいつの間にか治っていたということで?



そうですね~



では、体の方の分析をさせて頂きますので、あちらの施術室へどうぞ。
解説
結構アグレッシブな感じの方ですが、腰痛の原因は今のところよく分かりません。しかしながら、普段の仕事が運転をされるということで、通常のオフィスワークとは異なり、動的であることが挙げられます。やはり、日常生活において、最も長く習慣的に曝されている環境から原因を特定して行く方が効率的です。また、脾臓は交通事故でやられやすい臓器で強い衝突事故や落下などでは、臓器を摘出している方が多くいます。



では、こちらで鏡に向かって立って、後ろ姿の姿勢を見せてください。



こんな感じですか?



今は、真っすぐ立てている感じはありますか?



いつも通りな感じです。



なるほど。鏡で見ても分かると思いますが、真後ろから見た感じ、それ程目立った歪みはありません。こういう場合、横向きの姿勢分析を行いますので、鏡に横向きになって頂けますか?



はい



ん~、やはり!



え?



腰がいわゆる反り腰になっています。腰は通常、前に湾曲した構造になっていますが、中野さんは、この反り方が急激に下の方の腰部に集中しているんです。



前に湾曲?



そうです、こちらをご覧ください。





こんな感じで、左側の図の様に、腰が前方へ湾曲し過ぎているんです。しかも、中野さんの場合には、腰椎の中でも下部の部分が湾曲の角度がキツイんです。だから腰が辛くなってしまっているのだと思います。



言われてみないと気が付きませんでした。でも、重だるい感じがする場所は、もうちょっと横の部分でこの辺なんですけど。





あぁ~その辺に違和感があるんですね?では、もう少し検査をしてみましょう。こちらのベッドに仰向けになって寝て頂けますか?



あ、分かりました



今仰向けになってばかりですが、腰の痛みの方はありますか?



ん~今はそうでもないですが、普段寝ている時は、仰向けの方がどちらかというと痛みがあると思います。朝なんか、仰向けで痛くて起きたりしますから。



仰向けで痛む場所や痛みの感じは、ブルドーザーに乗っている時にある痛みと同じですか?



そうですね。同じ感じがします。手を当てたくなる場所が同じですから。



分かりました。では、今度は両腕を頭上までバンザイしてください。



あ、先に言うの忘れていましたけど、右肘が痛くて、バンザイしても少し痛みます。



あらら、確かに、右ひじが伸びていないバンザイですね。どの部分が痛みますか?



肘の外側なんですけど、病院へ行ったら「使い過ぎだ」と言われて湿布を出されてそれっきり・・・。



あ~おそらくですが、肘の外側部分だと「外側上顆炎」と呼ばれるものだと思います。別名「テニス肘」とも呼ばれていて、テニスをやる人が負荷が掛かる部分だから、炎症を起こしやすいんです。中野さんも、骨格全体が細くて、手か大きいので、肘には梃の応力が掛かりやすいかも知れませんね。



あ~、昔、登山をやっていて、ストックを握っていたら、同じところが痛くなったことがありました。



確かに、ストック負担になりやすいですね。スキーをする方でも多いので。実はこの肘の痛み、腰痛とは無関係ではなさそうですよ?



なんか、探偵さんみたい!



推理?いや、「腰のここが痛い!」と手を当てられて、実は姿勢を見て原因部位はちゃんと先生には分かっていました。



お!サスペンス劇場でも犯人は最初に出てます~!



中野さんが手を当てた場所、そこは腰の様に見えて腎臓のすぐ後ろなんですよね。



確かに!サスペンス劇場でも、犯人はほぼ100%身近な人間です!



えっとね、私、小説家じゃなくて・・・しかも、身近じゃなかったらスゴイ出演者の数になるし。ま、とりあえず、現時点では推測ですから、確証まで調べていきますよ。



来た来た!



この仰向けのまま、左足を45度持ち上げて下さい。そしてそこから更にその足を外側へ45度開く。



こ、こうですか?



お、意外と楽そうに持ち上げますね。



はい、でも結構プルプルしています



では、この位置で、私が持ち上げた足を、ベッド側に押しますから、このまま持ち上げた足を自力で固定してくださいね。要するに押し負けない様にして下さい。



え?筋トレかなんかですか?分かりました、ココで耐えればいいんですね?



お、飲み込みが早い!結構、理解されるまで時間が掛かる人が居るんですよね。



ハ・ハ・・・ハクショ~ン!!
(*筋トレ腰痛編の主役)



こんなの簡単じゃないですか!



では、行きますよ、いち、にの、さ~ん、ハイ押します!



ん~~~、耐えられました!



そうですね、結構力がキッチリ入りました。では今度は反対の右足も同じく持ち上げて下さい。行きますよ、同様に力を入れてくださいね。いち、にの、さ~ん、ハイ!



ん~~ダメかも~!



そうでしょ?右側の足はこの角度で固定できない。



なんで?こんなに力が入らないのに、私、立ったり歩いたりよくできましたね。



他の協力筋のお陰です。ちなみにこの筋肉は、座っている時に、腰を支える筋肉なんです。それから、自律神経の繋がりで、腎臓の活動状態にも関係がありますね。



そっか、他の筋肉が弱くなっている筋肉の分を、頑張ってくれているから痛むんだ~。



それと、中野さんの場合、ブルドーザーに乗られるお仕事ですから、凸凹の道など、シートへ伝わる振動も腎臓にはあまり良くないんです。殆どのドライバーさんは、振動によって腎臓が下へ下垂してしまいやすいのだと思います。



うわぁ~それは、治るんですか?



大丈夫です。腎臓の下垂を整えてあげれば、この筋肉の弱くなっているのも正常に戻ります。



え、お願いします!
解説
多くのドライバー型の腰痛は、この様に腎臓の下垂という現象が見られます。これは運転姿勢のまま、路面環境から少なからず影響を受けているものと推測されます。他にも、多くの場合、車のシートに座る姿勢は、腹部の内臓によって、腎臓部分を押し下げる様な、猫背の姿勢になりがちです。様々な仕事環境はあるにしても、多くのドライバー型腰痛は腎臓がトラブルの原因です。



さて中野さん、施術に入ります。今度は右側を上にして、横向きになって寝てください。



はい、こんな感じで・・。



では、これから右側の腎臓を正しい位置関係に戻せるように施術して行きますね。



ちょっと、手術される気分!え、ただこのまま横になっていれば良いのですか?



はい、殆ど押す力は感じませんので、そこまで警戒されなくても良いかと思いますよ。では行きますね~。



・・・あの~、まだ始まらないんですか?
3分後・・・・



あ、失礼しました、今施術中です。



施術中と言っても、背中とお腹に手を当てているだけで・・・・・。



はい、そうですよ!



は!まさかスプーン曲げ的な!?



まさか、それこそサスペンスどころでは無くなってしまうじゃないですか。



え?でも、何もされていない様な感じの・・・。



一応、これでも動かしているんです。呼吸に馴染ませるように・・・・腎臓を。



これで?



そうでうす。内臓や関節というのは、押して簡単に動いてしまったら、普段の生活で体はバラバラじゃないですか。積み木ロボットみたいに。そうならない様に、簡単に動かない様になっているんです。これを動かすためには、脳に気付かれない様に、そっと押さなければ位置を変えることはできません。だから中野さんが体感的に気付かなくても当たり前なんですよ。



確かに、騙されていました、今の私は!



もうちょっとこのまま待ってて下さいね。まだ呼吸と内臓が一緒に動かないので、硬さが残っていますから。
5分後・・・・



うん、良い感じになって来ました!腎臓が元の位置に戻ったようです。腎臓が呼吸に対して抵抗しなくなりました。



え?やっぱり何をやっていたのか分かりませんでした!



じゃあ、最初の右足に力が入り難かった筋力を見てみますね。また仰向けになって、足を45度持ち上げて、そこから更に外側へ45度。



はい、ここで良いですか?



大丈夫です。では最初と同じ様に、私は足に力を掛けますから、頑張って固定してくださいね。行きますよ、いち、にの、さ~ん、ハイ!



あ、えぇ~!全然入る、力が!というか、力を入れる前から、何だか足が上げやすい感じがありました。なんでですか?



腎臓の神経機能が整ったので、筋肉の神経機能も同時に整ったということですね。これで座っていても、筋肉全体で体を支えられる状態ですから、腰痛の予防になりますね。



あ、そうだ、右肘もありましたね。それでは仰向けのままで、先程の様にバンザイしてください。



あれ?痛くないかも?え、気のせいかな?



あ~凄いじゃないですか?腕が綺麗にバンザイ出来ているし、肘も自由に動くようになっているし。



なんで?



実はですね、先程の腎臓と関連している筋肉は、横隔膜の緊張をもたらすんです。横隔膜は、頚椎から神経が出ていて、横隔膜の緊張とイコールで頚椎も硬くなります。これが二次的な障害として肘に影響していたのかも知れませんね。



やっぱり推理は合っていた!



ま、そういう事になりますかね。



凄~い。これで最後には、崖っぷちで飛び降りようとして泣き落とし!



腰痛ごときでどんなストーリー展開を期待しているんですか!?ひとまず、今日はこれで十分そうなので、軽快まで2~3日安静にして下さい。



え、通わなくていいんですか?



ま、できれば2回くらいやっておくと安心ですが、1週間位経ってもまだ痛い様でしたらいらして下さい。



分かりました、え、これ凄いかも~!
解説
ドライバー型の腰痛については、慢性的な要因もありますので、痛みを感じ始める前からメンテナンスを行うのが良いと思います。酷くなると、椎間板ヘルニアなど、手術が必要なケースに移行してしまう場合もあります。酷くなってからではメンテナンスとは呼びません。症状が軽い内に早目に施術を受けた方が、治りは遥かに速いです。また、腎臓は塩分の採り過ぎや、水分の不足に弱い臓器でもある様です。とくに、水分の不足は、運転中にトイレに行きずらいという点から腰痛の原因になりがちです。
