ちゃんと先生の整体院には、筋力トレーニングで腰痛を発症する人が後を絶ちません。本来、腰痛は筋トレで解消できるとのイメージがあることから、「筋トレ=腰痛解消」と思われている方が多い様です。では何故筋トレで腰痛が引き起こされるのでしょうか?それは、筋肉は内臓の神経と連絡を持っているのが大きなが要因の一つです。
筋トレの最中に急激に痛くなる腰痛は、いわゆるギックリ腰というものが殆どです。中には、筋トレ中に徐々に腰に違和感を感じ始め、体が冷えてから動くたびに痛みを感じるケースもあります。前者のギックリ腰については、除雪による雪かき腰痛のページでご紹介しています。今回は、60歳代の草野さんを例に説明して行きたいと思います。
草野さん
もしも~し、今から行きたいんですけど、混んでますか?
ちゃんと先生
お電話でのお問い合わせありがとうございます!只今からだと、1時間程お待ちいただく状況です。
草野さん
1時間・・・1時間・・・あ、待てますのでこれから伺います。初めて行きま~す!
ちゃんと先生
あ、先に他の方がお見えになられた場合、こちら、先着順の整体院ですので、待ち時間の変動はご了承ください。
草野さん
はい、わかりました。
ちゃんと先生
ピンポー~ン(ちゃんと先生の整体院はオートロック)、はい!
草野さん
あ、今電話した初めての者ですけど~!
ちゃんと先生
はや!電話から10秒!え、本当に「今から」ですね!開錠しますのでお入りください。
ちゃんと先生
なんか個性的な人かも・・・・(独り言)。
草野さん
こんにちは。初めてです。
ちゃんと先生
はい、ではお掛けになって、こちらの用紙にご記入をお願いします。只今込み合っていますので、少々お時間を頂きます。ご記入が終わりましたらこちらのカウンターの上に置いてお待ちください。
草野さん
は~い。
ちゃんと先生
はい、申し訳ありませんお待たせしました。こちらへどうぞ!
草野さん
はい。
ちゃんと先生
今日はどうなさいましたか?
草野さん
ん?カラダ?
ちゃんと先生
あ、何か症状とか・・・
草野さん
ん~、私、こう見えても競馬と筋トレが趣味で、いや、競馬は関係ないんだけど、この間ジムで「ベンチプレス」をやっていたら、何だか腰が痛くなっちゃって、あれは胸筋を使う運動なのにねぇ~。
ちゃんと先生
ベンチプレスだと胸・肩・腕ですよね。結構重たいのを上げるんですか?
草野さん
え~まぁ、100キロ程。
ちゃんと先生
100キロ‼凄いですね、もはや本格的な。
草野さん
いやいや、そうでもないけど、トレーナーの徹男くんが結構宇宙人で、言われるとおりにやっていたらいつの間にか。
ちゃんと先生
徹男さんというトレーナーさんが、ストイックなんですね?
草野さん
えぇ、影響を受けてしまって。
ちゃんと先生
ただ、トレーニングをするのは良いのですが、腰を痛めてしまっては健康的なトレーニングとは言えませんので、その辺は加減が必要かも知れませんね。撤男さんともご相談されてはいかがでしょうか?昔アメリカでエアロビクスが流行った時に、エアロビクス症候群と呼ばれるくらい、やりすぎで体を壊す人が続出しました。せっかくの健康に良い運動が、不健康を作り出しては勿体ないですからね。
草野さん
あ、私は腰痛だから、不健康とは関係なくて・・・。
ちゃんと先生
違う違う、そうじゃないんです。筋肉に異常が出るのは、内臓機能の乱れでもあるんです。腰周辺の筋肉は、内臓でいうと「膀胱」「前立腺」「直腸」「下行結腸」「腎臓」の働きをコントロールする神経と連絡を持っているんです。ですから、単なる「筋トレで痛めた」というだけの事ではありません。
草野さん
ほ~う。胸筋を鍛えて・・・腰・・・・腸とかいろいろ関係があって。不思議・・・。
ちゃんと先生
例えば、左腕の筋力や握力と心疾患の関係性についても医学界では統計が取られています。人間の体はギアがかみ合って機能している様に、全て一体で機能しているのにも関わらず、筋骨格、内臓、皮膚、精神などが個別に扱われる傾向にあります。筋肉は筋肉だけの問題ではないんです。
草野さん
筋肉に必要な栄養は頑張って採っているけどね。プロテインは大好物。
ちゃんと先生
最近であれば、腸と脳との関係性に注目されていますよね?腸内の細菌が、感情や行動に影響を与えるとか。あれも結局、体は全て影響しあっているという証拠です。ですから、筋肉の症状は筋肉が原因であるという考え方は、もはや過去の古い話なんです。
草野さん
にゃ~るほどね。
ちゃんと先生
さて、それでは痛みのある場所を教えてください。
草野さん
右側のこの辺がちょっと。
ちゃんと先生
あ、ここは腰というよりも骨盤部分ですね。ちょうど、骨盤の関節がある所です。他には痛む場所はありませんか?
草野さん
背中のこの辺もちょっと痛い。
ちゃんと先生
その部分は、胸椎ですね。上部の胸椎。腕などを動かす神経に異常があると、その部分がズレてしまいます。ですから、腱鞘炎や四十肩、五十肩の症状がある方なども、その部分に異常が出やすいです。
草野さん
ふむ。そこは結構前から痛い。
ちゃんと先生
これもトレーニングに要因があるかも知れません。腕や足に痺れなどを感じたことはありませんか?
草野さん
トレーニングをした後にはジンジンと!
ちゃんと先生
1時間もすれば無くなる?
草野さん
無くなっちゃう。
ちゃんと先生
それは、筋肉を使ったことで、血流が一時的に増えたからじゃないかな?ま、今のところ心配はなさそうですね。では、立った状態で姿勢を見せてください。
筋トレは適度に行えば健康に貢献するものです。しかしながら、プロポーション要素が主で行ってしまうと、中毒性があることから「やりすぎ」の方が急激に増えます。女性のダイエットでも同じ様な現象がみられます。他人から見れば十分痩せているのに、自分の理想とは違う、一種の強迫観念からもっとエスカレートしてしまう。理想というのは人それぞれの感じ方はありますが、体に痛みなどのサインが出た場合には、やはり健康第一が重要でしょう。健康でなければいくら理想的なプロポーションであっても、人生が終わってしまっては意味がありません。草野さんの場合、骨盤部分と上部の胸椎部分に痛みを訴えています。上部の胸椎についてはベンチプレスの影響は直接的に考えられますが、骨盤部については間接的な影響の可能性があります。
ちゃんと先生
立ち姿はとても立派です。しかし、2カ所気になる所があります。一つ目は肩の高さが左右で結構違います。こちらの鏡の前へ立ちましょうか?ほら、左肩が結構下がっています。
草野さん
ほ~う。
ちゃんと先生
この状態で100キロの重さのモノを持ち上げると、確実に中心軸は傷んでしまいます。ちょうど先程の胸椎の痛みがある部位が、梃の中心点になってしまい、痛んでいるのかも知れません。
草野さん
ほ~う。
ちゃんと先生
そしてこれが原因で、腕と胴体までの距離が左右で違っています。左腕の方が、胴体の脇腹部分と肘の間にスペースがありません。一方で、右の腕の方は、しっかり空間が出来ています。重力に従って立つと、これだけ左右で上半身が歪んでるということになります。
草野さん
ほ~う、ほうほう。
ちゃんと先生
イメージとして、ハンガーの形を思い浮かべれば分かりやすいと思いますが、ハンガーのフックを中心に衣服がぶら下げられます。このフックの部分が胸椎になります。そして、左の片側にだけ重たい物をぶら下げると、ハンガーは全体的に左に傾きます。そうすると、胸椎のフックの部分も傾きますよね?姿勢だけでは断定できませんが、おそらくそういった感じで上半身のバランスが崩れてしまっていると思われます。
草野さん
にゃ~るほど。
ちゃんと先生
そしてもう一カ所の気になる部分は、骨盤の傾斜なんです。骨盤の上端部分がココにあります。鏡でも見える様に、私が骨盤の上端を手で押さえてみますね。はい、こんな感じ。
草野さん
ほう、右が上がっている。
ちゃんと先生
要するに、ココも変な事になっているんです。
草野さん
なんでだろぅ?
ちゃんと先生
何ででしょう?この状態でもう少し詳しく見るために、今度は力を使って筋力機能が正常かどうか調べてみますね?
草野さん
はい。
ちゃんと先生
私と力比べをしますよ?これだけ鍛えた体だと、仮に筋力異常があっても、私、負けてしまいそうですが・・・。では、右腕の方からやっていきます。右の腕を真横に水平に伸ばしてください。
草野さん
シャキン!
ちゃんと先生
いや、力こぶ作らないで、肘を伸ばして水平に。
草野さん
ビシ!
ちゃんと先生
では、これから私が肘より少し上の部分を、上から地面方向へ押し下げます。これに対して下げられない様に抵抗してくださいね。
草野さん
100キロ級で良い?
ちゃんと先生
あぁ~、そういう競技じゃないんで~。持ち上げるというよりも、とにかくこの腕を伸ばした水平角度から、角度が変わらない様に頑張って下さい。
草野さん
こういうの好き。
ちゃんと先生
行きますよ、いち、にの、さん、ハイ!
草野さん
勝った!完全に圧勝でしょ!
ちゃんと先生
いや~あの・・・闘争精神いらないです。そこの角度を「維持」できるかどうかが目的ですから、持ち上げて元の水平ラインから上に出てこないでください。
草野さん
え~、はみ出た?今。
ちゃんと先生
だって今、私が持ち上がりそうになりましたもん。
草野さん
持ち上げちゃダメなの?
ちゃんと先生
えっとですね~、固定です!固定!!
草野さん
なんだ、最初から言ってくれればいいのに。
ちゃんと先生
じゃあもう一度行きますよ!
草野さん
OKカモン!
ちゃんと先生
あ~力こぶ作らない!伸ばして、伸ばして!もう2回目ですけどね?このくだり。では行きますよ、固定ですよ?固定。いち、にの、さん、ハイ!
草野さん
ん~余裕!余裕!
ちゃんと先生
ま、確かに仰るように余裕で固定は出来ていましたね。では今度は反対の左側でやりますよ。力こぶ要らないんで、同じように水平に真横に腕を伸ばしてくださいね。
草野さん
ビシっと!
ちゃんと先生
では同じように、固定ですからね?固定。行きますよ、いち、にの、さん、ハイ!
草野さん
あぁぁぁ!ずるいですヨ、腕にぶら下がっちゃ!ちゃんと力で勝負して!
ちゃんと先生
ぶら下がってないですよ!何ならもう一度やります?私も同じ左腕の一本だけで押しますからね。
草野さん
OKカモン!
ちゃんと先生
行きますよ、いち、にの、さん、ハイ!
草野さん
あぁぁぁぁ~!負けたぁ!先生、ベンチプレスは何キロ!?
ちゃんと先生
いやいや、私、やった事すらないですから。
草野さん
ま、負けた・・・。もう立ち直れないかも(ポキッ)。
ちゃんと先生
あ~、なんか心のどこかが折れた様な音が聞こえましたけど、まぁ説明を聞いて下さい。正常な筋肉の活動状態であれば、私は絶対に敵いません。右腕がそうだったじゃないですか?つまり、左腕は筋肉の活動状態が弱化していて正常じゃないんです。だから腕が下がってしまった。それだけの事です。
草野さん
だが、この状態でも先日は100キロを上げられたもん(T_T)
ちゃんと先生
ま、まだ折れてる(汗)
えっとですね、筋力というものは、無意識的に作用している部分以外でも、全身で協力的に使っているんです。ですから、この弱化を放置しておいたことで、これまで協力的に働いていた筋肉の仕事量が増えたんだろうと思います。結果的にそれが腰周辺の筋肉だった。
草野さん
そうでしょう、そうでしょう✨
ちゃんと先生
あ、なんか光った!で、ですからね、この左腕の筋力は、神経の伝達異常を整えてあげる必要があります。というのが今日の整体でやる事です。
草野さん
治るの?これ!
ちゃんと先生
おそらく施術後には筋力の異常は戻ると思いますが。
草野さん
え~、やって、やって!
ちゃんと先生
も、もうベッドに寝ているし・・・。あ、あの~、できれば仰向けに寝て頂きたいのですが!
草野さん
そうだよね!仰向けだよね!
ちゃんと先生
何の同意か不明・・・。ま、まずは胸椎の部位から考えると、心臓や気管支、肺周辺の臓器と神経が連絡を持っています。ですから、この部分をチェックして行きますね。
草野さん
し、心臓?
ちゃんと先生
ええ、そうですよ。自律神経の働きが乱れている可能性があるんです。
草野さん
にゃんと!そこにも影響が?
ちゃんと先生
そうなんです。ですから、人間の体はギアがかみ合っている様に、お互いが影響し合って活動しているんです。あれ?このくだりも・・・。特に筋肉が痛むと、そこに意識がフォーカスされてしまうのですが、筋肉は神経によって各臓器と繋がりを持っているんです。ですから、この筋肉の活動状態が、正常かどうかを評価することで、同時に内臓の自律神経の活動状態も知ることが出来るというわけです。
草野さん
ほ~う。では私は死ぬのかね。
ちゃんと先生
死な~ん。いや、そりゃ寿命が来れば誰でもその時は来ますが、必要以上に臓器に負担を掛けて、健康にとって何の得もありませんからね。そういうのが積もり積もって病気にまで発展してしまうことは否定できないでしょう。ですから、この働きを戻してあげて、正常な筋肉の活動状態に戻すという事です。
草野さん
な、治る?これ?
ちゃんと先生
ま、またそのくだりに入った!頑張って施術しますよ。では、胸椎部分のズレている方向を見つけるために、頭にちょっと高い枕をしますね。顎が胸の方に近づく恰好になります。
草野さん
はい。
ちゃんと先生
では、この状態で、一旦両腕をバンザイしてみてください。
草野さん
ビシっと!
ちゃんと先生
あ~、そんなに力入れなくていいですからね。リラックスして。先程、左肩が下がっていましたので、バンザイをすると当たり前ですが、左側の腕が短くなっています。下に引っ張られている分、バンザイをするとそうなってしまうんです。
草野さん
あぁ~違うね~。これはね、わかりやすい。
ちゃんと先生
っで、一旦腕を戻します。今度はこの枕の状態で、顎が右の肩に向かう様に、首を回転させて頂けますか?
草野さん
こ、こうかな?
ちゃんと先生
あ、はい合ってます(そこはビシっと行かないんだ)。では、そのままの顔の位置で、また両腕をバンザイして貰えますか?
草野さん
はい・・・・・・・あぁぁぁ!腕伸びてる!
ちゃんと先生
あ、お分かりになりました!?
草野さん
いや、だってそもそも上げやすいもん!
ちゃんと先生
ですよね?これで、こちらの方向へ胸椎を整えてあげれば、肩がバランスすることが分かりました。
草野さん
そ、そうか!そういうことか!
ちゃんと先生
胸椎は、首の回転で動きますが、通常の回転よりも少し深く動かさないと、胸椎まで動かないんです。寝違えなど、結構首が原因だ!と思われる方が多いのですが、殆どの場合は胸椎なんですよ。だから寝違えると顔を動かすだけで痛む。ちなみに胸椎に動きを集中させるように、頭を枕で少し持ち上げたんですよね。
ちゃんと先生
ついでに反対の左側に首を回転して頂けますか?
草野さん
はい・・・あれ?また腕が短くなった。。
ちゃんと先生
そうですね。よって、右側に顔を向けたら、肩周辺が整うという答えになります。正面と左は少なくともバランスはしないという事ですから。
草野さん
治して!治して!
ちゃんと先生
は、はい、では今度はうつ伏せになりますよ。
草野さん
うつ伏せで治すんだ!
ちゃんと先生
あ、いや、その前に骨盤の状態も見せてください。
草野さん
あ、そっちもね。
ちゃんと先生
というか、本来腰が痛くていらしていますから(腰痛よりも腕の筋力に行っちゃった)。さて、先程骨盤が右上がりでした。ということで、足の長さを見てみると、やはり右足が上に上がって短くなっています。
草野さん
足は元から短い!
ちゃんと先生
いや、いや、元の長さを測ったわけではなくて、右側が左側と比較してという話です。
草野さん
う~ん・・・・。
ちゃんと先生
そうしましたら、このうつ伏せ状態で顔を左側に向けて、更に左肩へ顎を付ける様に動かしてください。
草野さん
こ、こうですか?
ちゃんと先生
そうです。ん~、まだ右足の長さが揃いませんね。今度は反対の右側へ同様に顔を動かして下さい。
草野さん
あぁぁぁ~両足が伸びた!
ちゃんと先生
いや、それを言うなら「右足が伸びた」です。両足のかかとの位置を当ててみると分かりますでしょ?
草野さん
ほんとだ!揃った。
ちゃんと先生
ま、もしかしたら両方が伸びて、かつ右足が伸びてきたのかも知れませんけどね(汗)。測っていませんから分かりませんが。ということはですよ、やはり骨盤のズレも、結局のところ、胸椎に原因があると考えられるわけなんです。
草野さん
えぇ?そんな所が!
ちゃんと先生
なんかサイコロで「振出しに戻る」の出目が出た気分・・・・。ま、始めてですから、驚くのも無理はありません。結果的に、この胸椎に関連して骨盤がズレていますので、胸椎の歪みが、骨盤周辺の臓器の働きを乱している可能性も出てきますからね。さて、今度こそ施術に入ります。
草野さん
お願いします。
立った姿勢で分析した通り、今回は胸椎が全ての元凶の様です。この部分は、循環器系や気管支と神経の繋がりがあります。この異常を簡易的、客観的に調べる方法が筋力です。腕の筋肉は主に、頚椎~胸椎から出た神経で活動が養われています。このことから、胸椎に異常がある場合、腕周辺の筋肉の活動に異常が見つかります。これを筋力弱化と呼びますが、力が入りずらい事から、姿勢の保持、固定が出来なくなります。ですから立った時の姿勢が崩れてしまうわけです。力比べではなく「固定」ができない様になるというのが特徴で、術者側よりも、やられる側の方が力がいれにく感覚が体感的にわかります。
ちゃんと先生
施術はまず、呼吸運動の障害について見て行きます。呼吸運動は、主に横隔膜という肋骨の最下部にある筋肉によって行われています。この部分に緊張があって動きが小さくなると、呼吸運動が小さくなって、肺または肋骨全体の動きも小さくなります。実は今回問題が出ている胸椎は、左右で肋骨と関節を作っており、肋骨の動きが制限されると、同じように胸椎の動きも制限されてしまうんです。
草野さん
結構呼吸が浅いって言われるかも。撤男くんにも。
ちゃんと先生
先ずは一旦深呼吸をしましょう。吸って~、吐いて~。
草野さん
吸った~吐いた!
ちゃんと先生
ん~もうちょっとシッカリ深呼吸をしてみてください。
草野さん
真剣に深呼吸しましたよ!
ちゃんと先生
全然肺や肋骨が動いていないですね。本来は、深呼吸をすれば、胸は持ち上がったり下がったりを目視出来るのですが、それが全然動いていない。これは横隔膜だけではなくて、全体が固まっていますね。
草野さん
そうだ、絶対にそうだ。
ちゃんと先生
では、横隔膜の施術から行います。ここは直接触れることが出来ない筋肉ですから、私が両手を使って、みぞおち部分とその背中部分でサンドイッチして緩めて行きます。あ、力は殆ど使いません、私の手の重みだけで筋肉が反応して整いますので。
草野さん
え?うん、まぁ・・・。
ちゃんと先生
はい、そろそろ良いかな?前後に入れた手の中で、呼吸に従って膨らんだり縮んだりするのが感じる様になりました。呼吸運動が大きくなりましたね。後ろの手を抜きますので、背中を持ち上げてください。
草野さん
はい・・・。あ、なんか息がしやすい。
ちゃんと先生
そうですね。肺も肋骨も先程より目視で動くのが見える様になりました。今度は、先程問題があった胸椎と関節を作る肋骨を緩めます。同じように、体の前後で私の手でサンドイッチして緩めますね。
草野さん
はい。
ちゃんと先生
はい、呼吸に抵抗なく動くようになって来ました。最後は胸椎を直接調整しますね。この骨は結構厄介ですが、間接法という術式を使って整えて行きます。
草野さん
直接でも大丈夫だけど
ちゃんと先生
あ、意外とその会話は専門的に成り立っていて、間接法に対して直接法という手法もあります。直接法は、一般的によくある「ボキッ!」と骨の関節を鳴らすやつです。それとは反対に、間接法というものは、関節の中で一番抵抗のない方向へ優しく押して、そのまま数分間待ちます。そうすると、呼吸の動きに従って、自動的に周辺の循環が回復して、結果的にこの関節のズレも戻るんです。ま、直接法でもやれますが、そっちにします?ボキって鳴りますけども。
草野さん
い、いや、それ怖いからもう一つの方で。
ちゃんと先生
見た目で人は判断してはいけませんが、てっきりボキっという方がお好みなのかな?と勝手に想像してしまいました。
草野さん
む、昔にそれで首を痛くされたことがあって・・。
ちゃんと先生
あぁ、そういうことでしたか。であれば、間接法で行きますね。では一旦うつ伏せになって下さい。
草野さん
はい。
ちゃんと先生
私の親指でここの胸椎を押しますね。私の親指の爪が白くならない程度の圧力で押しますから、痛みも全然感じません。
草野さん
お願いします。
ちゃんと先生
さて、そろそろ良さそうです。では、初めに見つけた異常な部分を再チェックして行きますね。まずはうつ伏せですので、足の長さの比較から。先程は、足の長さがうつ伏せの状態で右側が短くなっていました・・・あ、ほら、今は揃ったでしょ?かかとの位置が合っている。
草野さん
はい。
草野さん
お、治った!
ちゃんと先生
今度は、顔を左右に動かした時に、足の長さに影響が出るかどうかです。先程は、顔を右向きで足の長さが揃いました。もしもまだ胸椎に問題が残っていれば、首を左右に動かすと、足のバランスが再び崩れてしまいます。では、顔を左側に向いて・・・先ほどはこれで揃いませんでしたが・・・あ、今は揃っていますね。かかとの当たる位置分かります?
草野さん
あ~これも足の当たる感覚で揃った気がする。
ちゃんと先生
念のため、右向きもお願いします。
草野さん
はい、どう?
ちゃんと先生
なんか、効果音でなくなると寂しくなって来ました。
草野さん
あ、欲しくなってきました?ビシっと!
ちゃんと先生
あ、ほら、右向きでも足は揃ったままです。整ったようですね。
草野さん
そうだねぇ~。
ちゃんと先生
では、次は仰向けです。頭の下に少し高めの枕を敷いて、はい、バンザイですよ。
草野さん
ビシっと!
ちゃんと先生
どうですか?ビシっと具合。手の位置が両方揃っていませんか?
草野さん
あ、治った!
ちゃんと先生
さて、最も重要なところです!立ち上がって左腕の筋力を見てみます。
草野さん
よし来た!ビシっと!
ちゃんと先生
言われなくても力こぶ無しで腕が伸ばせている!もう、いつでもどうぞって感じ!では行きますよ。いち、にの、さ~ん、ハイ!!
草野さん
おぉぉぉ~!固定できる!ヤバイ、勝っちゃった!
ちゃんと先生
勝ちかどうかはよくわかりませんが、正常な筋肉の機能に戻ったようですね。そりゃ負けますよ私のひ弱な筋肉では。
草野さん
これってさぁ~、競技やるアスリートとか知ってるの?
ちゃんと先生
私は一生懸命声を大にして発信していますが、殆ど知られていません。世間では。
草野さん
勿体な~い!記録に直結するでしょ?この整体で。
ちゃんと先生
本来はそうだと思うんですけど、あまり重要視してくれないのが実情です。
草野さん
これ、撤男くんにも話してみますわ。
ちゃんと先生
是非!
草野さん
これで終わり?
ちゃんと先生
そうです。骨盤も整っていますし、筋力も整いました、あとは2~3日もすれば、腰の痛みも改善してくると思いますよ。
草野さん
凄いなぁ、まさか腰の痛みが胸椎だなんて。
ちゃんと先生
ですよね?全ての症状は結果ですから、それには必ず原因があります。その原因は全身が繋がっている以上、全ての部位が原因になり得ます。そこを見つけて整えれば、症状という結果は原因の解消に従って解決して行くものです。
草野さん
深いなぁ~。今日はふしぎが沢山発見できる一日だった!体もこれで整ったし。
ちゃんと先生
あ、そういえば「くさのさん」って、あの某番組の司会者の名前と同じでしたね。
草野さん
いや、私「くさの」ではなく「そうの」です。
ちゃんと先生
え!?そうだったんですか・・・。ちょっと意識し過ぎました。
草野さん
はい、ちゃんと先生!ぼっしゅうと~!!
ちゃんと先生
こちらも整ったご様子で・・・。
最後は結局「ぼっしゅうと」とされてしまいましたが、物事の原則として、結果は原因があって起こるものです。であれば、原因は結果を解決する唯一の根本的解消方法です。我々の整体は、まさに根本的な部分を見つけ出す作業を行います。また、筋力の異常は、一般的には姿勢の崩れに繋がるのと同時に、スポーツをするアスリートには大きな影響を与えます。例えば、筋力が弱化した状態で試合を行っても、最高のパフォーマンスは出来ません。そればかりか、怪我のリスクを増やしてしまいます。これらの事から、症状は無くとも、普段から筋肉の状態や神経機能を整体でチェックして貰うのは有益であると私は思います。病気は病院で治療してくれますが、病気ではないものは原因がないわけですから、保険も適応されずに治療も行われません。この部分が我々整体の職域とも言えるでしょう。ちなみに、「ぼっしゅうと」とは調べたところによると、「没収」と「ダストシュート」の掛け合わせだそうです。