運転手型腰痛

はい、どうぞ～！開錠しまーす！

※ちゃんと先生の整体院はオートロック

勿論です！今日はどうなさいましたか？

差し支えなければ、お仕事は何をされているのですか？

ブル、ブルドーザーって？あの大きな工事現場とかの？

ちょっと見た目といっては失礼ですが、凄く小柄な方なので・・ギャップにやられました！

確かに腰が痛いと、運転席でのポジションとか結構大変そうですね。

なるほど。過去に外科的な手術を受けられた部位などありますか？

そうだったんですか。いや、大型バイクの件も気になりますが、脾臓摘出って、それ大した事ですけどね。その時には骨折とかされなかったんですか？

それは不幸中の幸いでしたね。事故の後遺症はありませんでしたか？

ヘルメットを被っていると、衝撃で首を持ってかれますからね。でも、その程度の後遺症で本当に良かった。今回の腰痛は初めてですか？それとも何度も過去にありましたか？

その時の仕事もブルドーザー？

何もせずに放置で？

ん～・・それぞれ聞きたいことが沢山ありますが、まぁ、運動をしていたらいつの間にか治っていたということで？

では、体の方の分析をさせて頂きますので、あちらの施術室へどうぞ。

では、こちらで鏡に向かって立って、後ろ姿の姿勢を見せてください。

今は、真っすぐ立てている感じはありますか？

なるほど。鏡で見ても分かると思いますが、真後ろから見た感じ、それ程目立った歪みはありません。こういう場合、横向きの姿勢分析を行いますので、鏡に横向きになって頂けますか？

ん～、やはり！

腰がいわゆる反り腰になっています。腰は通常、前に湾曲した構造になっていますが、中野さんは、この反り方が急激に下の方の腰部に集中しているんです。

そうです、こちらをご覧ください。

こんな感じで、左側の図の様に、腰が前方へ湾曲し過ぎているんです。しかも、中野さんの場合には、腰椎の中でも下部の部分が湾曲の角度がキツイんです。だから腰が辛くなってしまっているのだと思います。

あぁ～その辺に違和感があるんですね？では、もう少し検査してみましょう。こちらのベッドに仰向けになって寝て頂けますか？

今仰向けになってばかりですが、腰の痛みの方はありますか？

仰向けで痛む場所や痛みの感じは、ブルドーザーに乗っている時にある痛みと同じですか？

分かりました。では、両腕を頭上までバンザイしてください。

あらら、確かに、右ひじが伸びていないバンザイですね。どの部分が痛みますか？

あ～おそらくですが、肘の外側部分だと「外側上顆炎」と呼ばれるものだと思います。別名「テニス肘」とも呼ばれていて、テニスをやる人が負荷が掛かる部分だから、炎症を起こしやすいんです。中野さんも、骨格全体が細くて、手か大きいので、肘には梃の応力が掛かりやすいかも知れませんね。

ストックでもなりやすいですね。スキーをする方でも多いので。実はこの肘の痛み、腰痛とは無関係ではなさそうですよ？

推理？いや、実は立っていた時に「腰のここが痛い！」と手を当てた場所で、原因部位はちゃんと先生には分かっていました。

中野さんが手を当てた場所、そこは腰の様に見えて腎臓のすぐ後ろなんですよね。

えっとね、私、小説家じゃなくて・・・しかも、身近じゃなかったらスゴイ出演者の数になるし。ま、とりあえず、現時点では推測ですから、確証まで調べていきますよ。

この仰向けのまま、左足を45度持ち上げて下さい。そしてそこから更にその足を外側へ45度開く。

お、意外と楽そうに持ち上げますね。

では、この位置で、私が持ち上げた足を、ベッド側に押しますから、このまま持ち上げた足を固定してくださいね。要するに押し負けない様にして下さい。

お、飲み込みが早い！結構、理解されるまで時間が掛かる人が居るんですよね。

では、行きますよ、いち、にの、さ～ん、ハイ押します！

そうですね、結構力がキッチリ入りました。では今度は反対の右足も同じく持ち上げて下さい。行きますよ、同様に力を入れてくださいね。いち、にの、さ～ん、ハイ！

そうでしょ？右側の足はこの角度で固定できない。

他の協力筋のお陰です。ちなみにこの筋肉は、座っている時に、腰を支える筋肉なんです。それから、自律神経の繋がりで、腎臓の活動状態にも関係がありますね。

それと、中野さんの場合、ブルドーザーに乗られるお仕事ですから、凸凹の道など、シートへ伝わる振動も腎臓にはあまり良くないんです。殆どのドライバーさんは、振動によって腎臓が下へ下垂してしまいやすいのだと思います。

大丈夫です。腎臓の下垂を整えてあげれば、この筋肉の弱くなっているのも正常に戻ります。

さて中野さん、施術に入ります。今度は右側を上にして、横向きになって寝てください。

では、これから右側の腎臓を正しい位置関係に施術して行きますね。

はい、殆ど押す力は感じませんので、そこまで警戒されなくても良いかと思いますよ。では行きますね～。

あ、失礼しました、今施術中です。

はい、そうですよ！

まさか、それこそサスペンスどころでは無くなってしまうじゃないですか。

一応、これでも動かしているんです。呼吸に馴染ませるように腎臓を。

そうでうす。内臓や関節というのは、押して簡単に動いてしまったら、普段の生活で体はバラバラじゃないですか。積み木ロボットみたいに。そうならない様に、簡単に動かない様になっているんです。これを動かすためには、脳に気付かれない様に、そっと押さなければ位置を変えることはできません。だから中野さんが体感的に気付かなくても当たり前なんですよ。

もうちょっとこのまま待って下さいね。まだ呼吸と内臓が一緒に動かないので、硬さが残っていますから。

うん、良い感じになって来ました！腎臓が元の位置に戻ったようです。腎臓が呼吸に対して抵抗しなくなりました。

じゃあ、ちょっと最初の右足の筋力を見てみますね。また仰向けになって、足を45度持ち上げて、そこから更に外側へ45度。

大丈夫です。では最初と同じ様に、私は足に力を掛けますから、頑張って固定してくださいね。行きますよ、いち、にの、さ～ん、ハイ！

腎臓の神経機能が整ったので、筋肉の神経機能も同時に整ったということですね。これで座っていても、筋肉全体で体を支えられる状態ですから、腰痛の予防になりますね。

あ、そうだ、右肘もありましたね。それでは仰向けのままで、先程の様にバンザイしてください。

あ～凄いじゃないですか？腕が綺麗にバンザイ出来ているし、肘も自由に動くようになっているし。

実はですね、先程の腎臓と関連している筋肉は、横隔膜の緊張をもたらすんです。横隔膜は、頚椎から神経が出ていて、横隔膜の緊張とイコールで頚椎も硬くなります。これが二次的な障害として肘に影響していたのかも知れませんね。

ま、そういう事になりますかね。

腰痛ごときでどんなストーリー展開を期待しているんですか！？ひとまず、今日はこれで十分そうなので、軽快まで2～3日安静にして下さい。

ま、できれば2回くらいやっておくと安心ですが、1週間位経ってもまだ痛い様でしたらいらして下さい。